ブレッサンの会社です。
...地球と名前の幸せな結婚...。
ブレッサンの会社です。
夜、過去に向かって続く荷馬車の轍跡が古代ローマの街道をひた走り、やがてローマ帝国最東の境界 に到達します。ファッラ・ディソンゾ(ゴリツィアの州)・・・伝説に彩られた地、人々の労働が刻まれ た地、そこでは時は流れを止め、ブドウの緑色の葉がゴツゴツした岩肌と鮮やかな対比をみせていま す。
ブドウ畑の樹一本一本、花の一つ一つに、秘められた歴史があります。わずかなブドウの樹は、驚く べきことに現在まで生き抜き、つるを埃だらけの潅木に絡ませたり、半ば崩れかけた廃墟の壁の片隅 にその身を食い込ませたりしています。この地を開拓する者たちは辺りに満ちた歴史的雰囲気を深く 吸い込み、類稀な自然環境と詩情を感じ取ります。人間と土地との出会いを語る歴史、ブレッサン・ ファミリーが波に飲み込まれることなく生き抜いてきた、連綿と続く歴史の頁が今、開かれようとし ています。
畑の面積はおよそ20 ヘクタールです。
数世紀にわたる経験がもたらす知恵が“上質なワインは、セラーではなく畑でつくられる。”ということ を我々に教えてくれます。(世間一般では、ワインはセラーでつくられる、と長い間信じられてきまし た。)ブドウ品種や土壌の質などにより、最良と思われるブドウを選び抜いて植えつけることにも、も ちろんかなりの注意が払われます。土地の財産である地元ブドウの自然な遺伝子の選別、保存に関し て、さらなる品質改良を進めるには、ブドウ畑に植えられる樹の選択が大きく作用するのです。
さらに特筆すべきことは、我々の畑はおよそ 5000 本/ha という密植率を誇っています。この数字は不 断の改良を保証するため厳しく設定された栽培方針の、明確な裏づけです。
従って、ワインメーカーとしての我々の役割とは、ワインの変化過程を辛抱強く見守り、“人の手を加 えることを極力控えること”に尽きるといえます。モザイクを貼り合わせるように、来る日も来る日も 新しいタイルが加えられ、最後にようやく全体像が見えてくるのです。高い技術と確かな経験を持つ、 先を見通す力のあるワイン醸造家が、熟成を見守り、ワインの仕上げを施し、樽熟成の期間を決定し ます。そしてワインは魅惑の味わいの瞬間を迎えるのです。 ブレッサンのワインを注意深く味わった人なら誰でも、ブレッサン・ファミリーの歩んだ歴史は複雑 であり、イマジネーションが結集して価値あるものを生み出していく情熱の物語であることを感じ取 ってくださるはずです。3世紀に渡る歴史が父から子へと秘伝の方法となり過去から現在へと受け継 がれています。ファミリーの歴史は今なお完結していないからです。 頂点を極めたと満足し、ビジネスの成功こそが到達点だというワインメーカーもいます。しかし一方 で、決して満足しない者たちもいるのです。ここで問題になるのは金銭ではなく、ワインの品質です。
最近の醸造業界のプレスにおいては、恐らくほんの2~3 ヶ月前に収穫されたと思われる早飲みタイプ のワインばかりをもてはやし、単に“飲める”というレベルのものをあたかも素晴らしい商品のように書 き立てる傾向がみられます。しかし、ワインは人間と同じようなもので、成熟して大人になるには一 定の年月が必要であり、早熟タイプのものであっても最短で3年は必要なのです。
現代のワインメー カーの関心事は、最小限のコストで最大の利益を上げることに尽きるようです。しかしその実現のた めに、すべてを破壊してしまう技術が開発され続けているのです。
もはや誰も良いワインの作り方を教えてはくれません。単に、ワイン産業にとって機能的な技術の適 用方法を示してくれるだけのことです。