父から子へ三世紀にわたって受けつがれたワイン造りの歴史が、“バッカス神のネクター”とは自然の恵みであること、外からの介入や操作を一切必要としない自然の変化によって生まれる恵みであること を我々に教えてくれます。ワインメーカーとしての我々の役目とは、単にワインの規則的な変化に寄 り添い、力ずくではない熟成を加えることに尽きます。どんな作業も、自然のタイムスケジュールを 尊重して行なわれます。ブドウ畑において我々が遵守するこの哲学は、ワイナリーでの醸造工程にお いてもまた指針とされています。特に、ブドウの中に厳重に隠された特別なアロマを最大限引き出そ うと細心の注意を払っているときには尚更です。

9月~10 月、ブドウは実りの時を迎え収穫を待つばかりとなります。成熟曲線が最高に達したときに 摘み取りが始まります。果実を傷つけることのないよう、作業は人の手のみにより厳密に行なわれま す。

ワインセラーに集められた貴重なブドウは、除梗され軽く圧搾されます。マストは注意深く発酵槽に 汲み上げられ、“低温浸漬”が行なわれます。マストと果皮を発酵させずに浸すことで、ブレッサンのワ インを気品あふれるものとする、あらゆる自然物質の抽出を可能ならしめているのです。

この工程では様々な作業(果帽の櫂入れ=突き崩しなど)が加えられます。その後、およそ1 週間の アルコール発酵、そして最後の浸漬を行ないます。

これら全ての作業は温度調整機能つきのステンレスの発酵槽で行なわれます。

こうして4 週間後、ワインは果皮から分離され、別の清潔な槽で乳酸発酵が行なわれます。リンゴ酸 を乳酸に変える作業で、ワインに素晴らしい深みと柔らかさをもたらし、我々を魅了する洗練性をよ り豊かにしてくれるのです。

二つの発酵作業が終了すると、ワインはオークの樽に移され、頻繁なバトーナージュ(攪拌)によって酵母菌が活発に働き始め熟成が始まります。そのとき貴重な酵母が均一にワイン全体に行渡るよう にします。この昔ながらのやり方はワインの芳香を高め、偉大なワインが将来、ますます強調してい かなければならない、“際立った個性”というものを最大限に引き出す役割を果たします。

この熟成のやり方は必然的にワインを一定量、樽に吸収させることになり、自然の蒸発とともに、樽 内のワインの量の減少を招きます。そのことから、“フィラー”と呼ばれる同じ種類のワインを定期的(二 週間に一度)に加えます。このため、ガラス製の“醗酵栓”が利用されています。この作業により、樽内 のワインの量を一定に保つことに加え、ワインに触れている空気の入れ替えを行ないます。

偉大なワインを作るために必要な“熟成の時間”に取って代われるような技術などは存在しない、という ことを歴史は教えてくれます。それぞれのワインにとって最適な熟成期間を割り出すためには、醸造 者の高い技術と豊かな経験に頼るしかないのです。マエストロは独特の方法で熟成期間の判断をして、 過剰な樽熟成を防いでいます。きつすぎる樽がけは、ブドウ本来のアロマや天然の味わいを損なうだ けなのです。

それぞれの樽からの頻繁なテイスティング、そして慎重で手堅い選別作業の果てに、ワインは最終的 な“ブレンド”のため大きなタンクに注ぎ込まれます。ブレンドによるそれぞれの個性の融合が、優雅で 芳香溢れるシンフォニーを紡ぎだす完璧なコンビネーションの誕生に貢献しているのです。

瓶詰めの日は、幾度となく慎重に繰り返されるテイスティング評価の結果、決定されます。

コルクも慎重に選定され、瓶詰め直前に再度チェックされます。

キャップシールが巻かれたあと、ワインは500 本を収納する巨大な棚に寝かされ、更なる熟成のため に倉庫で保管されます。

ラベル貼りと箱詰めは出荷直前に行なわれ、ユニークで非の打ち所のない 一連の工程を保証します。